名作ドラマ「女王の教室」20周年に寄せて

みなさんこんにちは、川越市六軒町にある就労継続支援B型事業所あしたのタネ川越六軒町のmです。

現在では時代の変化、価値観の変化、テレビの影響力の低下など様々な因子があり、社会をえぐるタイプのテレビドラマはかなり少なくなった印象があります。
タイトルの「女王の教室」は現代にも通じるメッセージ性のあるドラマではあるのですが、
あまりに過激な描写から、いろいろ騒動が起きた作品です。

主演は志田未来さんと天海祐希さん、2005年を代表する大ヒットドラマではあるのですが、天海さん演じる担任の阿久津先生のさながら軍隊のような高圧的な教育体制が実に恐ろしく、同じく主演の志田さん演じる小学生の神田さんはじめ生徒の6年生たちへのメッセージも苛烈な作品でした。しかし、このドラマは単に教師の独裁を描いて糾弾するというものではなく、むしろかなり教育的な内容を含んでいます。ストーリーは興味を持ってくださった方に視聴していただくとして、阿久津先生の問いかけの一部を抜粋します。(大量にあるので全部見たい方はHuluでご覧いただくか、DVDをご購入下さい)
世の中からいじめがなくなることはありえない
人間は弱いものいじめをする生き物です。

いい加減、目覚めなさい?
(作中で多用されるワード)

他にもたくさんのかなり危ない問いかけを阿久津先生は生徒たちに投げかけます。当然にしてまだいろいろと規制が緩かった2005年当時ですらコンプライアンス上の問題に引っかかりました。
そのため炎上も発生し、当時はテレビ局も大変だったようです。

ちなみに志田さんは、翌年のドラマ「14歳の母」で再びブレイクしましたが、これもまた内容が内容だけにPTA等の間で問題視され、視聴率の高さと裏腹に、やはり騒動になりました。私の中学の保健の先生は授業であえて性教育の議題に挙げていましたが。

こうした問題作は放送倫理の名のもとに再放送不可作品となり、現在2作ともHuluでしか配信されていないようです。(DVDはまだ売っていますが)
この作品が描いたものごと、倫理観は確かに令和の今となっては古いかもしれません。しかし、こうした学校や社会の不条理、嫌なこと理不尽は似たような形で存在します。そうしたものを鋭く描いた作品を封印してしまうのは、それはそれで問題があると思います。これは確かに過激なドラマです。
しかし私は思うのですが、現実のかかる諸問題もそうですが、あまりそうしたものに無理やり蓋をしてしまうと、「現実を擬似的にも知らない」と言う状態に陥り、その人たちが受けるダメージが大きくなるのではないでしょうか。最近で言われていると言う解決策の一つとしては確かに「困難から逃げる」は手段としてはありなのですが、逃げることには必ず限界があります。そのようなことを視聴者だった頃を思い返しながら感じています。

また、私は教育という問題に関して幾度となく机上の空論を述べてきましたが、日本の教育を憂いて生徒指導と教育心理学を趣味で学んでいたある時「褒めて伸ばす」これだけでは下策だと思うようになりました。
日本帝国軍人山本五十六は、
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ」
と述べましたが、それでは人格的に成長するにはまだ足りないでしょう。時には叱ることも重要であって、私は失敗した時に叱ってくれる友人や年長者こそ大切にしています。
(ただし、いわゆる、「キレる」と叱るは別です、怒鳴ればうまくいくと考えるのは考え方として最悪で、うまく叱るというのは、大変難しいことです。)

「女王の教室」は2025年で放送20周年を迎えます。放送終了後教育現場に新たに生まれたSNSを介したいじめや不登校が問題になり、娯楽としてのドラマへの熱量も最近では韓国などに押され気味な今だからこそ、当時の日本ドラマの中の傑作としておすすめしたい一作です。