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非条理の世界 カミュ編
みなさんこんにちは、川越市六軒町にある就労継続支援B型事業所あしたのタネ川越六軒町のmです。
人生において、「なぜ自分にこんなことが起きるのか」と思わされることは誰しも経験があると思います、世の中は理不尽で満ちており、人生全て順調ということはまずないことでしょう。 そんな現実を、フランスのノーベル文学賞作家アルベール・カミュは自身の小説で鋭く描きました。最近人類に降りかかった理不尽な不幸と言いますと、あの恐ろしいコロナウイルス、私も罹患しましたが、風邪薬が効かず、ひたすら安静にするほかない恐怖と苦痛は耐え難いものに他なりませんでした。 そのような混乱の時期にかけて、カミュの代表作「ペスト」がかなり売れたようですが、本作は彼の理不尽文学としての描かれ方が遺憾無く発揮されている作品でした。

あらすじ アルジェリアのオラン市で、突如としてペストのパンデミックが発生した。主人公で医師のリウーは治療に腐心するものの、なすすべもなく患者たちは亡くなっていく、パニックになる市民たち、はたしてオラン市の運命はどのようなものとなっていくのだろうか?

簡単にあらすじを書くとこのようになります。ペストはネズミが媒介する、中世ヨーロッパにおいて猛威を振るった疫病で、ヨーロッパの当時の人口の三分の一の人命を死に至らしめたと言われています。無情にも刈り取られる生命、そこには王様も貴族も平民も、一切の区別はなく、カミュが書いたような不条理の世界が広がりました。くちばしのような形をしたペストマスクは歴史好きの間では有名ですが、ペストの惨状を現代に蘇らせたのがカミュといえます。 世の理不尽、こうしたものでカミュが残したものは他にもあります。「シーシュポスの神話」などは短編ながらメッセージ性が伝わりやすくおすすめです。

最後に このような理不尽文学を書き続けたカミュは、若くして交通事故によって亡くなってしまいました。偉大な文学者も一般人も、突如として訪れる不幸からは逃れることはできないことを示す最期でした。 読者の皆さんも、人生には幸福も不幸も突然に訪れることをお考えの上で、自分にとって悔いのない人生とは何か、幸福に生きるためには何が必要か。そういったことを思慮に入れたうえで日々の生活を送られるよう願っています。
また長くなりましたが、本稿はこれでおしまいです。 参考文献 ⚪︎新潮文庫 カミュ 「ペスト」 宮崎嶺雄訳 ⚪︎ 帝国書院編集部「最新世界史図説タペストリー 二十三訂版」
