みなさんこんにちは、川越市六軒町にある就労継続支援B型事業所あしたのタネ川越六軒町のmです。

今回は理数系のテーマです。皆さんは理数科目は好きですか?中高で私は化学は少しできましたが、数学、物理はまるでダメ、数学については微分積分のテストで学年ワーストを取ったこともあります。

こんな私が書くのもどうかと思いますが、今回のテーマ、フェルマーの最終定理は、数学界を揺るがす超難問でありながら、中学生でも概要の理解は可能な問題です。そもそも最終定理などと凄そうな名前がついているから、問題を見る前に敬遠してしまう人も多いのでしょう。

1600年代のフランス人裁判官で数学者の
ピエール・ド・フェルマーはデカルト、パスカルなどの学者と親交があり、数学の発展に大きく寄与した人物でした。
フェルマーには、数学書を読みながら、「こんな問題の場合はどうだろう」と思いついた問題を本の余白にメモをする癖があり、日々研究を重ねるフェルマーでしたが、彼の思いついた48の問題のうち、次の問題だけは現代になるまで解ける人がいませんでした。(そのため最終定理と名付けられました)

その問題とは

xのn乗+yのn乗=zのn乗

という式において、nが2である場合は成立する数の組み合わせxyzがある(これは中学3年あたりで習う、三平方の定理です)が、同様にnが3以上になった場合成立する組み合わせはあるか?

という問題でした。結局フェルマー自身もこれを証明できませんでしたが、死後フェルマーの考えた問題が本に書かれているのが見つかり、最終定理については「私はこの証明について驚くべき発見をしたが、それを書き記すには余白が足りなすぎる」とメモが残されているのが発見され、フェルマーが何を発見したのかわからないまま、数学者たちのおよそ300年にわたる挑戦が始まりました。

 確かにこの式は何が言いたいのかについては理解が難しいものではないですが、証明となると話は別で、一気に信じられないほど難易度が上がります。
式のわかりやすさから駆け出しの数学者からベテランの数学者まで、多くの研究者がこの証明に挑み、敗れていきました。それくらい恐ろしい問題だったのです。
最終的に幾多の先行研究を踏まえ、この問題を解くのが子どもの頃からの夢だったというイギリス人数学者アンドリュー・ワイルズ博士が100ページを超える論文で証明に成功、nが3以上の数の場合においてこの式が成立するxyzの数の組み合わせは無い、と結論が出ました。1995年のことでした。

 以前、著書の「国家の品格」が大ベストセラーとなり、一躍時の人となった数学者藤原正彦氏は、フェルマーの最終定理について「数学者の間では挑んではいけない問題というのが常識であった」と述べていました。(この文はどこかの学校の入試国語で課題文になっていました)
これは無理からぬことで、何人もの天才が何百年かけても解けないのですから、諦めの雰囲気が出ても仕方がないことです。
しかしあえてそれに挑み、かつ解決まで導くワイルズ博士の研究者としての能力はもちろん、超難問に手を出した好奇心や度胸も讃えられるべきでは無いでしょうか?

 私はそうした、未知のものを探究する勇気を特に賞賛しています。フェルマーの最終定理は解決されたことで何か生活が一変するとか、そういったものでは現在のところありません。
かといって役に立ちそうに無いから研究しないで切り捨てようという考えには私は強く反対します。そんなことをしていたら人間としての知的活動はたちどころに萎縮してしまいます。

 数学は日本人にとってはあらゆるところで必要とされる学問ですが、正直何に使われているのかわからない、というものも多いです。
ただし物理や生物とあわせて応用されているものがあり、我々の理解し得ないところで、人間社会を操る法則として機能しています。理工学や医学などは現代数学がなければ成立しないでしょう。
そうした例があるからこそ、一見用途がわからない未知の問題が解決されることからは我々凡人には理解できない新たな研究への応用が生まれうる、私はそう考えています。

 なお、年齢的な問題があり、ワイルズ博士は数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞の対象ではありませんでした(40歳未満の学者が対象です)が、イギリス王室から表彰され、また驚天動地の影響を数学界に与えました。こうして数学者の死闘はひとまず終わったことになります。
しかし、他にもリーマン予想、コラッツ問題など、超難問は他の歴史学や天文学、物理学などの分野と同じで数学にもたくさんあります。これを読んでいる方も、試しに数学の世界をのぞいてみませんか?
(コラッツ問題は小学生でも理屈はわかります。しかし証明となるとやはり地獄の難易度となります。)

最後に、いろいろ書きましたが、正直なところ、数学が出来なかった私が書いても、説得力は無いですね...誰か興味がある方が読んでくださることを祈ります。何なら、今は夏休みですから、中高生の皆さん、自由研究の参考にでもどうぞ。

参考文献 算数がメチャ得意になれる本:秋山仁のおもしろ授業(わかるのびるドラゼミ・ドラネットブックス 日本一の教え方名人ナマ) 小学館 1997