みなさんこんにちは、川越市六軒町にある就労継続支援B型事業所あしたのタネ川越六軒町のmです。

はじめに 私は教育学に興味がある一般人に過ぎず、教員免許を持っているわけでも、何か特別な資格があって教壇に立った経験があるわけでもありません。よって、この記事の内容はただ思った近年の教育改革について気になったところを述べているに過ぎません。専門家では全くないので大学の教育学科1年生のレポートのようにお読みください。

今年も大学入試の大半が終わり、新年度も大きな滞りなく各種試験が終了する見込みです。
2025年度は共通テスト、一般入試も新課程ということで、混乱した受験生もたくさんおられたと思いますが、この新年度案、大学で教育学をかじっただけの私から見ても、「これで大丈夫なの?」と不安を感じます。
特に気になったのは「情報」試験の追加や「英語」課題文の構造的革新、長文化、「地理歴史」「理科」の一部の改革などです。新科目の情報はプログラミングやインターネットの仕組みを問うていたようですが、初年度ということもあって作問者も手加減したのか、緊張こそあれ難しすぎると苦情が来ている様子は私の見る限りあまり見られませんでした。しかしながら、SNS上では来年以降難化がじわじわ進むのではないかと危惧する声もあり、まだまだわからないところが多いです。
英語もセンター時代と比較して「とにかく読ませる、とにかく聴かせる」試験への傾倒が見られ、これを高三でやるのかと驚かされました。
センター時代に多かった文法問題やアクセント問題はかなり少なくなり、とにかく架空のチラシやメールの体裁の長文情報処理などが頻出し多読が求められている印象を受けました。率直な感想は「これ満点取れる学生さんいるのか?」と言ったところです。そもそも日本人に英語嫌いが出るのも、我々一般人が生活で高度な英語力を必要とする機会が少ないからだと思うのですが。
しかしこの問題形式、まるでTOEICですね...
これでは語学の試験というより言語情報処理速度試験です。今はスマホの登場で昔のようにCDプレーヤーと電子辞書や英語辞典をそばに置いて学習という時代ではないですが、過去問を見て驚きました。
あとは地理歴史でしょうか
私達の世代では高校で日本史は選択科目であり、中学生で日本史を終えることもできました。
私は日本史は不得意でしたし、カタカナ用語の方が覚えやすかったので、高校では日本史をやらずに学習を終えました。
私のように日本人なのに高校で日本史をやらない学生が出る、こうした状況を文科省も危惧していたのか、せめて日本と世界の近現代史を網羅すべく「歴史総合」という日本史と世界史を同時に学ばせる新科目を作り上げました。
これがなかなかおかしな科目でして、歴史総合は高校一年生で「地理基礎」とともに必修、その後歴史をもし2年、3年で選択した場合日本史または世界史の一部を2回教科書で学ぶという非効率な学習につながってしまうことになります。
興味があったので私も山川出版社の歴史総合、世界史探究、日本史探究のテキストを購入し、読みましたが、「この教科書のままに2回同じテーマをテストするのはいかがなものか」と思いましたね。(現場の先生もそれくらい考慮するとは思いますが)近現代史の記述が一部重複しています。
これは奇妙な改革であると言わざるを得ません。
正直な話新課程で最も驚いたのはこの点でした
今年度の実際の定期テストですが、歴史総合という割には今年はどうも世界史にウェイトを置きすぎたらしく、Google検索で 「歴史総合 日本史」と入力すると候補検索に 「不利」とサジェストが出ます。
この辺りのバランスを保つのは難しいでしょう。世界史は旧課程では不人気だったのですが、歴史総合ではこれをテコ入れしたかったのかもしれません、しかしながら、やや性急に過ぎた感じはいたします。




 次に理科でいくつか考えますと、日本は地震大国で毎年のように土砂災害や大地震が起きているにも限らず、地学を教えている学校が共通テスト志願者データから推察するに極めて少ないのも気になったところです。天文や宇宙なども扱うので好きな人がいても良さそうなものですが、やはり大半の大学受験で使えないためか、依然として理科の中では最も不人気ですね。参考書も理科基礎の「地学基礎」はまだいいですが高校の発展科目としての「地学」については本格的なものは数冊しかありません。変わり種としていざという時これはこれで役に立ちそうですが。

数国英が重要視されるのはセンター時代から変わりませんが、昨年度の問題をいくつかの科目で見る限り、うまく言えませんが思考力を問うといいながら、その問い方が癖のあるものとなっている、というのが私の感想です。

...などと教育評論家でもないのに長く語ってしまいましたが、文科省もいろいろな案を出しては消しを繰り返し、折衷案などいろいろ考えたとは思いますが、総合型選抜による大学入試も盛んな時代ですから、この際学生さんを文系理系と分けずに、生物もやったが、好奇心のままに世界史もやった、というような学生さんがいてもいいと思うのです。私も昔は化学に興味がありましたが、高校が3年に上がる時、化学を選択すると世界史(3年次)が選択出来なくなる、というカリキュラムだったので、仕方なく化学は2年次までで諦めました。

いよいよ次年度も近づいてまいりました
私は教育学の授業の一貫で教育に関するドキュメンタリーをいくつか見ましたが、現場の先生方の待遇や職場環境が現状としてブラックであるという問題などいろいろな苦労があると学びました。各種教育機関の方々もさまざまに工夫しておられるのでしょうが、教員不足等の教育現場における由々しき事態が実際に起きているのはニュースでも取り上げられます。
あくまで理想論ではありますが、私が願うのは、何事においても、できる限り学生さんたちの「やってみたい」という意思や好奇心を尊重してあげてほしい。また、文科省も学生さんおよび学校の先生方の待遇改善に力を入れてほしい、ということです。

私たちの子供世代のカリキュラムが今後どうなるかはわかりません、しかし、昭和期のあれも、これもといった度がすぎる詰め込み教育のような、学生さんにとって大変な苦痛を伴うものにはしないでほしい。つくづくそう思いました。そうして得ようとしたものは、私が考えるに授業が終われば忘れてしまうか、その科目への苦手意識を持たせてしまうと思うからです。

以上、新課程試験の感想と現代教育への提言でした。

しかしこれでも日本の共通テストは韓国の共通テスト「スヌン」や中国の共通テスト「高考」よりも易しいそうですから、上には上がいるということですね。

参考文献
⚪︎25年度教学社共通テスト赤本シリーズ 共通テスト過去問研究1 英語 リーディング/リスニング

⚪︎25年度教学社同上シリーズ5 歴史総合・世界史探究

⚪︎山川出版社 歴史総合 近代から現代へ 岸本美緒/鈴木淳ほか13名 2023年発行

⚪︎山川出版社 世界史探究 詳説世界史
木村靖二ほか11名 2023年発行

⚪︎山川出版社 日本史探究 詳説日本史
佐藤信ほか23名 2023年発行

*なお、地学については発展科目「地学」としての過去問シリーズは少なくとも教学社からは発売されていませんでした。(地学基礎は教学社も化学基礎など他の理科基礎科目とともに一冊の赤本として出版しています)地学(発展)については河合出版が出している過去問集のいわゆる「黒本」には収録されているようです。

*志願者データについては独立行政法人大学入試センターのホームページを参照しました。令和6年までデータがありました。