みなさんこんにちは、川越市六軒町にある就労継続支援B型事業所あしたのタネ川越六軒町のmです。
最近とみにコスパ、タイパを重視して何事も効率化、合理化を良しとする声を耳にするようになりました。確かに昔のようなタイプライターの使用やパソコンを使わない文書作成は時代錯誤と言えるでしょう。まして今ではチャットGPTなどもありますから、作文、文書作成の障壁はずいぶんと軽くなったといえます。確かに何枚も書くのは非常に面倒な書類ってありますからね。そこはAIの功績です。

しかし、人生生きていけばわかりますが、現実で経験しなければ得られない知識があるのも事実。これはどんなに技術革新が進んでも変わることはないでしょう。代表的なものに人間関係などが挙げられますが、ポリス的存在である人間は、否が応でも人と関わらなければ生きてはいけないのです。近年の不景気で広まった無駄なものを切り捨てるコスパ思想にも繋がりますが、何気ない質問、議論によって知識が深まることは珍しくはないのです。故にコスパだけ考えて人生を送るのは無理があると私は思います。
タイムリーな話題ですが、本年は久々に日本人からノーベル賞が2人も出ました、お二方に共通しているのは、不撓不屈の研究精神です、たとえ何年かかろうと、このお二人は研究を止めなかった。それも答えがあるかもわからない問題に向かってです。
これは人間にしかできない芸当であって、かつタイパ重視などと言う人にはとてもできないものと言わざるを得ません。無駄な時間の使い方の中にも意味はありますし、本人がくだらないと思っていたものが実は重要なものかもしれません。要するに、時短、節約は美徳なようで、ある意味での落とし穴もあるということです。
大学でレポートをA Iに書かせて単位を落とす学生も昨今ではいるようですが、こんなことをしてコスパ、タイパに寄与するかというと大変有害な思想で、何のための大学教育か、私はそう思います。私は学術的なものには興味を惜しまないので、こうした行為に関しましてはあきれたと言わざるを得ません。
2025年ノーベル賞の先生方に限らず、学者と呼ばれる方々は、答えがあるかわからない、いつ成果が出るかわからない、そういうテーマに何十年も時間をかけてやり続けました。
学問の世界は答えのある問題ばかりではありません。哲学や史学、数学に化学に医学と、まだ人間にはわからないものは大量にあります。

その中において研究者に必要なものは、あきらめない精神と失敗を恐れない気概であると私は思います。そこにコスパやタイパを考える余地はありません。AIに聞いたところで、人間が解決していない命題を答えることはなく、所詮これまでの人間が得た知識をまとめたシステムに過ぎないからです。
これからも日本人が各種栄誉ある賞を得るためには、かかる時間は度外視としつつ無駄な時間すら大切にし、AIなどの新興技術と賢く付き合い、失敗をおそれず、目標に向かうための勇気を持つことが大切であると思うところです。
長くなりましたが、本稿はこれで終わりたいと思います。最後に、いつの日か優れた研究者が、まだ日本人で受賞者がいないノーベル経済学賞を受賞する日が来ることを願っております。