みなさんこんにちは、川越市六軒町にある就労継続支援B型作業所明日のタネのmです。

そろそろ春かな?という暖かい日が来たように思いますが、皆さんはどう感じますか?

さて、今回のテーマは「中国のタンピン族」です。  G7や多くの民主主義の国と異なり、LINEやインスタグラム、Xなどを遮断して独自路線を行く世界二位の経済大国中国では、社会資本主義のもと民主主義陣営とは異なる文化が発展しています。

これは自国産業を民主主義陣営から守るためとしては賢い施策で、もし、仮に中国からYouTubeを見るために、LINEを使うために、Xを見るために金盾(ジンドゥン)という中国政府が大量の予算を割いて作ったグレート・ファイアーウォールを越えて越境すると大変な罰則があると噂されています。

しかし、YouTubeが使えなくとも国内にビリビリ動画なる巨大動画サイトがあり、LINEがなくともウィーチャット、といった具合にアプリも民主主義陣営とははっきり分けられています。

日本人で中国に行くような人は渡航後中国のアプリ事情を知っていなければ極めて不便になる可能性がありますが、中国の人は金盾の規制は特に不便していないようです。

どんなサービスも中国ほどの大国であれば西側諸国のアプリの代替品がちゃんとあるためです。  閑話休題、日本は今年度の高校、大学入試は終わりましたが中国の場合、都市戸籍を持っている受験生ほど有利になる中国版共通テストこと高考(ガオカオ)が毎年6月に行われ、北京大学と清華大学などの中国トップ校を目指して2023年は1300万人の学生がガオカオを受けたといいます。中国は、日本をはるかに超えた学歴社会です。しかしながら、たとえ最高レベルの大学に入ることができても、出口は日本と同じで就職がその時の景気に大きく左右されます。  

現在は中国も不景気傾向なので、日本で就職する学生や、軍に入るエリート学生がいるそうです。 (少数派ですが、あえて中国の大学を受けずに中国社会でも有名な東大、明治大、早稲田大などを受ける受験生も最近はいると聞きます)

私の知人の中国人留学生も「日本の大学の中では東大、明治と早稲田は農村部の人でも知っている、中国でも称賛される大学だ、」と言っていました(慶應はあまり知られていないとか)  

しかし、そういったアカデミックな世界から離れ清華、北京大学の学位などはどうせ手に入らないと、初めから諦めて、先述した既存の娯楽だけで生きていく人が近年の中国社会に現れました。

タイトルにある「タンピン族」です。彼らのことを表すならば、老子、荘子の教えを極めた者と言えましょう。

ことの始まりは2021年、中国のインターネット掲示板にて、数年前に工場の仕事を辞めたというとある男性が「タンピンは正義だ、私はもう二年も働かずに遊んでいるが、特に悪いと思わない、以下略」(タンピンとは、寝そべるという意味です)と書き込んだ人が現れ、ウェイボ(中国のX)などで大変にバズったんですね。

政府はこのような思想が蔓延すると経済活動が鈍化すると危惧したのかこの書き込みを削除しましたが時すでに遅し。中国中にこの思想が広がってしまいました。(こういう考えの人は昔からいて、今になってタンピン族などと呼ばれるようになっただけだ、と主張する人もいます、あれだけの人口がいる国ですから、主義主張も多様となります)  

日本メディアの取材によると、自分をタンピン族と名乗る若者は、結婚はしない、子供もいらない  ブラック労働拒否、車はいらない、労働は月十日(中国の物価が安い地域ではこれで十分だそうです)で必要最低限、家は買わない、とにかく手に入らないものは求めない、という究極のミニマリストでした。

取材班が写した部屋にあるのは最低限の家具とウェイボやゲームのプレイ用と見えるスマホとビリビリ動画を見るためと思われるゲーミングPC…確かにこれでは中国の経済発展には寄与しません、しかし、彼を捕まえようにも普段はタンピン仲間を増やして芝生で寝そべるだけなので罪状がありません。

本人曰く、法律に反していないので逮捕されるいわれはない、ということです。  そこで政府もゲーム規制をしたり習近平総書記直々にタンピン族を非難したり、彼らの嫌がることをするわけですが、ますます寝そべるだけで効果がない、彼らはまるで仙人のような生活をしているのです。

取り締まりをしたくとも政府批判や思想犯罪をしないので彼らを逮捕することはできません。今後彼らが中国経済にどのような影響を与えるか、気になるところです。  物価、税金の高い日本ではタンピン族のような生活はなかなかできませんが、邪馬台国や遣隋使の時代より中国は東アジアの盟主として日本に様々な思想、アイデアを輸出してきました、日本の社会問題であるブラック労働、低賃金、ストレス社会、人間関係の問題や過労死問題を解決する鍵は案外老荘思想やタンピン族が持っているのかもしれませんね。

日本では無職を恥ととらえて辛い労働に根性論で耐えることをよしとする考えがあるのは今も変わりません。生活保護バッシングも数え切れないほど見てきました。  

理想論として、時には休むことも重要であることは間違いありません。それがなかなかできないのが日本社会の問題点であって、昔から模範とされる労働ブランクのない勤労人が休みを取ることは決して容易ではありません、同調圧力の問題もあります。  

大体、バブル経済でもないのに勤労意欲がどれほどわくというのでしょう。ましてや現代日本のように押し並べて労働環境が良くない国にあっては。低賃金で酷使されれば人格に悪影響を及ぼしうります。  

イタリアやスペインは日本より失業率が高いですが、それで人生を諦める人も多いという話を私は聞いたことがありません。長く書いて話がずれてきましたので、今回はこれまでといたしましょう。

補足 中国も相当なブラック労働を強いる企業があり、996(9時から9時まで6日間)という地獄のような労働環境の辛さは、一躍流行語になりました。